2010年3月16日火曜日

優先順位を見失っては駄目だ。

愛ちゃんこと福原愛が早稲田大学を中退し、プロ卓球選手として競技に専念するとのこと。残念だなと言う思いと、やっぱりという思いがある。

トップアスリート入試という各競技でもトップレベルの選手だけが合格を許される(年間4、5人くらいしか合格者がいない)入試をパスし、鳴り物入りで3年前に愛ちゃんは早稲田大学に入学した。ただ、入学当初から学業と選手業の両立は難しいのではと個人的には思っていた。そもそも彼女は早稲田に練習環境を求めて来た訳でも、何かを勉強したくて来た訳でもない。選手として、学生という立場に身を置き、自分で自分をコントロールしながら、自立したいという高尚な思いがあった訳でもなさそうだった。入学式後に報道される彼女の姿が耳にピアスで茶髪という姿であったことからも容易に想像できるように、彼女は単純にキャンパスライフを楽しみたかっただけなのではなかろうか。

確かに、幼少時から天才卓球少女としてもてはやされ、その期待に応えるべく血のにじむような努力を続けてきたことを考えれば、「ちょっと休んでみたい」と思うのも分からないでもない。だけど、それならばもう卓球からフェイドアウトするくらいの気持ちでないと、学業との両立は難しい。愛ちゃんが甘かったのは、それでも卓球が捨て切れなかったことだと思う。

早稲田も早稲田でそれくらい見抜けなかったのだろうか。ラグビーや駅伝、サッカーといった競技における母校の躍進は勿論嬉しいものだが、その裏には学業成績を無視したいわばバーゲンセール的なスカウティングによる戦力補強という裏事情がある。インターハイチャンピオンでも評定平均、作文、そして面接の総合評価で判断され、落ちる時は落ちる、というのが早稲田の推薦入試であったはずだ。愛ちゃんにとっては優先度が一番高いのは本来は競技に専念することであっただろうし、そこは敢えて「取らない」という選択肢も大学側にはあったのではなかろうか。

中国に鄧亞萍という女子卓球選手がいた。彼女はオリンピックで4つの金メダルを獲得し、18回世界チャンピオンに輝くという競技者として右に出るものがない成績を収めている。これだけでも圧巻だが、彼女はアフターキャリアでもさらに凄い。引退後は清華大学で学士、イングランドのノッティンガム大学で修士、そしてあのケンブリッジ大学で経済学のPh.Dを取得を目指している。

優先順位を見失わなければ、彼女のようにまずは選手として専念し、それでも勉強したいという気持ちがあれば引退後に学問を極めることも可能だったはずだ。

二兎追うものは一兎も得ずというが、やはり優先順位というのは見失ってはいけない。

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