食事をしながら色々と話をしたのだけど、いきなりFennyが「Homecountryって言われたら何処って答える?」と質問してきた。何かで聞かれたらしい。「それってコペンハーゲンなんじゃないの?今拠点にしているところでしょ?」と言うと、「いや、説明によると”growing up”したところらしいのよ。」とのこと。
「生まれたということであれば、スマトラで生まれたから答えるのは簡単。でも、”growing up”って言われると難しいわ。だって、その後オランダに移り、そこからデンマークに移ったから、一箇所に絞ることできないから。」と。なるほど。日本で生まれ、日本で育つことが当たり前の日本人にとっては、単純明快な質問も、彼女のように複数の国で育ったバックグラウンドを持つ人間にとっては全く困った質問になってしまう。将来的に人の移動がもっと加速していけば、Homecountryなんていう概念、少なくとも”growing up”した場所という定義は全く意味をなさなくなるかもしれない。Fennyの旦那・Brianも生まれはオランダだが、デンマークを拠点としている。これから日本で生活する、デンマークを拠点としているオランダ人のBrianと、インドネシアで生まれオランダの大学を卒業し、デンマークのコンサルティング会社で働くインドネシア人のFenny。ややこしいが、そんな彼らだから、日本で生活することに対してはあまり抵抗がないらしい。特にFennyは日本語を学ぼうとその学習意欲はかなり旺盛で貪欲。殆どオランダ語がしゃべれない状況でオランダに移り住み、生き残ってきた彼女にとってみれば日本での生活もそんなにチャレンジングには感じられないのかもしれない。
さて、話はFennyの旦那のBrianに移る。Brianに「何か今回の駐在はミッションがあるの?」と聞いてみたら、SPring8で行われている様々な研究のサポートが彼のミッションらしい。SPring8はX線を人工的に発生させるための巨大施設で、Google Earthで検索したら円形の建物の輪郭がはっきりと見えた。彼曰く、日本政府が科学研究に対する投資が大きくて研究者にとって日本は素晴らしい国なんだと。ヨーロッパでもハドロン衝突型加速器やSPring8の様に人工的にX線を発生させる研究施設の建設計画はあるが、日本のように単独政府による投資で実現されるケースはレアで、殆どが複数国による共同出資らしい。日本がそこまで科学技術研究に投資をしているとは 思ったこともなかったから、これには結構驚いた。へー、という感じだった。「そんな感覚、日本人はあまり持っていないと思うよ。」と言うと、Brianは「政府からのコミュニケーションの問題なんじゃないかなぁ。」とのこと。日本は研究開発を重んじて、投資を積極的にする国で、研究者にとっては恵まれた国なのだということをアピールできれば、これから研究者を目指そうとする若者にとっても夢がある話だし、モチベーションになるのかも。分からないけど・・。
OECDの”OECD Factbook 2009: Economic, Environmental and Social Statistics”によれば、2007年時点の日本のR&D投資対GDP比率はSweden(約3.7%)、Finland(約3.5%)に次いで第3位(約3.4%)。3%を超えているのは第4位の韓国までなので、日本はかなり高い水準。R&D投資の絶対額で見ても、アメリカ(27兆円)日本は16兆円ものお金を研究開発に投資している。
でも、これだけのお金を投資しておきながら、日本はIMDの世界競争力ランキングで17位とトップ10にすらひっかからないのは何故か。。職人気質な日本人だから、応用することを知らない?そもそも目的意識がなくてお金だけばら撒いて、実を結んでいない?・・・なんてことが色々と思い浮かんだ。とにかく勿体無い。
ということで、今日の夜は再会も嬉しかったのだが、Brian・Fennyから色々と学ばせてもらい、考えるきっかけをもらった。
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