2010年8月15日日曜日

円高進んでるね。

円高が進んでいる。円相場は85円から86円台で推移していて、ドルの円に対する相対的価値は1年間で10%以上も低下している。リーマンショック後にグローバルでの市場収縮と円独歩高という2つの痛手を被った日本の輸出産業は海外に生産能力を移転して為替リスクのヘッジに動いたため、当時に比べて経済紙にはあまり円高による企業業績に対するインパクトを目にしない。米欧の先進国は輸出拡大路線を取っているため自国通貨安を容認しており、金融政策的にも不況を抜け出せないため利率を低水準に抑えている状況で、「強いドル」という言葉は昔話の様に思える状況では政府の介入なしにはこの円高基調は続くと思う。楽観的に考えればこの円高基調は有利だし、チャンスだと思う。クロスボーダーのM&Aなどで手持ちキャッシュを10%も効率よく使えるようになるし、意識的に生産活動のグローバル化を進めるきっかけとなる。ただこんな風に楽観的に考える人ばかりではない。逆に円高に対する懸念は強い。日経新聞など主要経済紙でよく見かけるのはこれ以上円高が進めば企業活動のグローバル化が進み、国内の雇用を減退させるという議論である。確かに日本の労働力のグローバルにおける価格競争力は10%も下がったわけであり、ロジカルに考えればより安い労働力の活用にシフトしていく必要がある。例えば研究開発とか、半導体の回路設計とか、ハイエンドモデルの生産とか、高い労働コストでも付加価値の出せる部分は国内に残し、量産向きの商品の生産などは海外生産に切り替えるなどある程度は国内・海外で役割が分担されていた。でもこれ以上の円高が続けばその役割分担も維持できなくなる水準に到達し、ますます企業活動のグローバル化が進み、国内の雇用が海外に奪われていく。
この件に関して、円高がいいのか、悪いのか、政府は為替介入すべきかということばかりが論点のように取り上げられている気がするが、そもそも日本の為替政策の前に、日本の経済政策について議論をする必要がある。政府はその点をおざなりにしているのではないか思う。少なくとも日本経済はこれまでもこれからも輸出主導型であることに変わりはなく、ある程度の水準で円の価値を維持することが必要。僕は基本的に日本企業がグローバル化していくことは国内労働力が縮小していく中で、為替の高低に関わらず進めていくべき政策だと思うが、国内を空洞化させては本末転倒であると思う。政府も日銀も拙速じゃなかろうか。この状況ではあまり菅内閣の経済運営にOKとは言い辛いね。こんなにコロコロと変わる政権だと一貫した経済政策もへったくれもないのかもしれないけど。日本はピーク時には80兆円も輸出で稼いできた国。円高にそろそろ歯止めかけるタイミングじゃなかろうか。

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