2011年4月21日木曜日
Country RiskとValuation
春学期も佳境にさしかかっている。再来週からFinalが始まるのでどの授業も「締め」に入りだした。未経験の領域だけにタフだが、最も学びが多いCorporate Financeの授業も同様に締めくくりに入り、先週から授業で毎回フルバリュエーションをやっているため準備がとにかく大変。今日のケースは初めてのアメリカ国外のケース。しかも舞台はアルゼンチン。2002年に実際に起こったFrance TelecomからのTelecom Argentinaの50%株式(持ち株会社経由)に対する125mUSDのEquity投資がテーマだった。これまではアメリカ企業のバリュエーションだったため、マクロ経済の動向(為替、金利、インフレなど)などのノイズは殆どなかったが、そもそもEquity投資のタイミングが2002年とアルゼンチンが国債の債務不履行を宣言したばかりという金融市場が混乱している状況という全く異なるシチュエーションだったのでこれまで以上に準備に時間がかかった。特に難しかったのが資本コスト(WACC)の計算。メキシコ、ブラジルなど近隣諸国の類似企業のベータを参考値にβeを算出することを試みたが、そもそも国を跨いでβeを参考値として使う場合、βe自体は派生元のCountry Riskだけを含むから、国を跨ぐ場合はAdjustしないといけないと思っていた。結局βeをそのまま使い、Equity Costを計算。今回のようにβeを補正しなかったり、その他にはMRPで補正するとか、Risk Free Rateで補正するとか複数のEquity Cost計算方法があるらしく、奥が深いと思った。学校でやっているのが超簡単なケースだと思うと、仕事になったら大変なんだろうなと思う。ただ、ここまで来ると実際の実務経験が無いとなかなか授業で深みのある発言が出来なくなるので、自分の貢献度は大分下がっている気がする。楽しいけど、難しい。。
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似たようなケース、発電プラントを幾つか持ってる会社の事例を使ってやったよ!難しいよね。ファイナンスってもっとRigorousかと思ってたけど所詮経済学と一緒でARTだなって学んだよ(前提をどう置くかで結論が大分変わる)。
返信削除元気そうで何より!!
返信削除事業価値の評価って、最終的にはかなり主観的要素も入ってくるよね。だから、僕たちみたいな仕事があるんだけれども。
そちらへ遊びに(?)行く時期が、少し遅くなりそうです。また連絡するね!!
>Yuki
返信削除確かに。結局どんなにテクニカルな学問領域でも、肝要なのはAssumptionの設定だと痛感してる。オペレーションの授業でも、例えば需要予測を間違えば確立された発注モデルを使っても全く意味をなさいし、ファイナンスの授業も事業の将来予測、リスクなど、前提が間違っていればFCF→最適資本構成→WACC→DCFと流して行っても全く意味なくなっちゃうからね。
>小川くん
元気、元気!小川家の皆さんは元気でやってますか?地震の影響はどう?New Yorkで待ってます!仕事の話を色々と聞かせてください。