
フランスに来る前にiTunes UでダウンロードしたMichael KaiserのMIT Sloanでの講演を聞いた。iTunes Uでビデオを物色していた時に初めて彼の存在を知ったのだけど、バレエや演劇などのどちらかというと古典的なエンターテインメントビジネスを次々に立て直した実績があるらしい。彼はSloanの卒業生で、
当初は自分で立ち上げたコンサルティング会社でGMなどの大手企業に戦略コンサルティングサービスを提供していたが、1985年にその会社を売却し、Art managementsの世界に足を踏み入れたらしい。現在はKennedey Centerというアメリカ国立の芸術センターの館長を務め、バレエ、音楽、演劇など多くの芸術の発展に尽力しているだけではなく、Art Businessの経営者の育成も行っており、研修プログラムを開発し、10ヶ月間のトレーニングを提供している。
無形サービスの提供という観点からすれば、芸術もスポーツも共通している。だから、彼が数々の劇場や芸術家集団の経営を立て直してきたマーケティングノウハウというのはきっとスポーツにも通じるものがあるだろうと思って興味をそそられてダウンロードしてしまった。
彼曰く、芸術のマーケティングには2種類の方法がある。1つ目は、Pragmatic Marketingでいかにしてチケットを売るかを目的としてマーケティング活動をすること。もう1つはInstitutional Marketingで、これはそもそも芸術の魅力を最大限に引き出すようなマーケティング活動をすることにより、価値を高め、成功に結びつけるというもの。要するに小手先の技でチケット収入を上げるのではなく、本質的な価値向上、訴求を通じて収益に結びつけるということ。で、そのInstitutional Marketingが最も重要と主張していた。
確かに、いくらチケット収入を上げようとして、広告打ったり、プロモーションをかけたりしても、提供するサービス自体の魅力がひどければ、リピート率も下がるし、そもそも投資に見合ったリターン(チケット収入)は得られない。その上、長期的な顧客を作り上げることもできないし、毎回毎回投資が発生してしまう。サービス自体の本質的な価値を向上させて、ファンを作り、リピートさせる方が余程効率的だし、長期持続的な効果を生み出し続けることが出来る。
なかなか勉強になる講演でした。
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